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不燃木材の羽目板でデザインと安全性を両立!内外装の選び方や注意点を解説
建築基準法の内装制限により、これまで木材の使用が困難だった商業施設や公共建築物でも、木の温もりを感じられる空間づくりが可能になる「不燃木材の羽目板」。
本記事では、不燃木材の羽目板の基本的な特徴から具体的なメリット・デメリット、用途に応じた選び方のポイントまで、わかりやすく詳しく解説します。理想的な空間づくりを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
不燃木材の羽目板とは?
不燃木材の羽目板の特徴と、建築基準法で定められた内装制限について詳しく見ていきましょう。
特徴
不燃木材の羽目板は、一般的な無垢材にホウ素系やリン酸系などの不燃薬剤を注入処理した壁材・天井材です。壁や天井に連続して張ることで、建物の内装を美しく仕上げられます。
薬剤の注入量によって「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」として国土交通大臣の認定を受けており、火災時に燃えにくい性能を持っています。
本物の木材を使用しているため、人工的な素材では表現できない自然な風合いと温もりを感じられる点が大きな特徴です。木目の美しさや触り心地も無垢材とほぼ変わらず、居住空間に自然素材ならではの癒やし効果をもたらします。
知っておきたい建築基準法の「内装制限」
建築基準法では、火災時の安全性を確保するため「内装制限」という規定が設けられています。建築基準法第35条の2に基づき、特定の建物では壁や天井の仕上げ材に不燃材料の使用が義務付けられています。
内装制限の対象となる主な建物は以下の通りです。
- 不特定多数の人が利用する劇場や大型商業施設
- 病院や学校などの特殊建築物
- 階数が3階以上の建物
- 延べ面積が1,000平方メートルを超える建物
通常の木材は可燃材料に分類されるため、上記のような建物では使用できません。しかし、不燃認定を受けた羽目板であれば、内装制限の対象建築物でも使用が可能になります。
不燃木材の羽目板を採用する4つのメリット
不燃木材の羽目板を導入することで得られる具体的なメリットを、4つのポイントに分けて解説します。
内装制限のある場所でもデザインの自由度が広がる
従来、内装制限の対象となる建物では、安全性を重視するあまりデザインの選択肢が限られていました。しかし、不燃木材の羽目板を使用することで、法規制をクリアしながら理想的な空間デザインを実現できます。
学校の教室や図書館、病院の待合室、商業施設の内装など、これまで木材の使用が困難だった場所でも、自然素材の温かみを取り入れた空間づくりが可能になります。
木目の方向や張り方を工夫することで、空間に動きやリズム感を生み出せるため、単調になりがちな内装にアクセントを加えられます。
本物の木ならではの温もりと癒やし効果
人工的な素材とは異なり、不燃木材の羽目板は本物の木材が持つ自然な美しさと癒やし効果をそのまま活用できます。
木材に含まれるフィトンチッドという成分は、リラックス効果をもたらすことが知られています。また、木目の不規則なパターンは視覚的な安らぎを与え、ストレス軽減にも効果的です。
特に、長時間過ごすオフィスや学習環境では、木材の持つ癒やし効果により、利用者の心理的な負担を軽減し、集中力の向上も期待できます。
調湿効果により室内の湿度を適度に保つため、快適な環境を維持する機能面でのメリットも見逃せません。
万が一の火災時の安全性を高める
不燃木材の羽目板は、火災時に燃えにくいだけでなく、有毒ガスの発生を抑制する特長があります。特に、一般的な合成樹脂系の内装材に比べ、燃焼時に発生する有害物質が少ないため、避難時の安全性を高めます。
また、不燃処理によって火災の延焼を遅らせる効果も期待できるため、避難時間を確保しやすくなる点も大きな利点です。
このように、建物の利用者に安全・安心な環境を提供できることは、施設運営者にとっても大きな価値となります。
商業施設などでは差別化と付加価値向上につながる
商業施設やホテル、レストランなどでは、内装に不燃木材の羽目板を使用することで、他の施設との差別化を図れます。
木の温もりを感じられる空間は、来訪者に好印象を与え、滞在時間の延長や再来訪の促進効果も期待できます。特に、自然志向や健康意識の高い顧客層にとって、天然素材を使用した空間は魅力的に映るでしょう。
ブランドイメージの向上や顧客満足度の向上により、長期的な収益向上にもつながる可能性があります。
導入前に知っておきたいデメリットと注意点
不燃木材の羽目板には多くのメリットがある一方で、導入前に理解しておくべきデメリットや注意点もあります。
一般的な羽目板に比べて高価になる
不燃木材の羽目板は、一般的な無垢材の羽目板と比較して価格が高くなる傾向があります。不燃薬剤の注入処理や認定取得にかかるコストが材料費に反映されるためです。
1平方メートルあたりの価格相場は約10,000円から20,000円程度とされており、使用する樹種や加工内容によってはさらに高額になる場合もあります。
プロジェクトの予算を検討する際は、初期投資額を十分に考慮し、長期的な耐久性やメンテナンス費用も含めた総合的なコスト評価を行うことが重要です。
白華現象など、不燃処理特有の注意点
不燃薬剤を注入した木材では、時間の経過とともに薬剤が表面に浮き出して結晶化する「白華現象」が発生する可能性があります。施工直後は確認できなくても、湿度の変化により後から現れることがあるため注意です。
また、不燃薬剤は水溶性のものが多いため、空気中の湿気を引き寄せて木材の含水率を高めてしまう場合があります。その結果、反りや変形のリスクが増加する可能性も考慮する必要があります。
このようなリスクを軽減するためには、表面に適切な保護塗装を施すことが効果的です。専門業者による工場塗装を選択することで、品質の安定性を確保できます。
無垢材のため反りや収縮の可能性がある
不燃処理を施していても、基本的には無垢材であるため、温度や湿度の変化により反りや収縮が生じる可能性があります。
特に、不燃薬剤の影響で含水率が変化しやすくなるため、施工後の環境変化に対してより注意深い管理が必要です。
施工時には適切な下地処理と固定方法を選択し、室内環境の管理にも配慮することで、変形のリスクを最小限に抑えられます。
【用途別】不燃木材の羽目板 選び方のポイント
使用する場所や目的に応じて、適切な不燃木材の羽目板を選択するためのポイントを解説します。
内装(壁・天井)に使う場合
内装での使用では、デザイン性と機能性のバランスを重視した選択が重要です。
壁面に使用する場合は、空間のアクセントとなるよう木目の美しさを活かせる樹種を選びましょう。節のある材料は自然な風合いを演出できますが、統一感を重視する場合は節の少ない材料が適しています。
天井に使用する際は、照明の反射効果も考慮して色合いがおすすめです。明るい色合いの樹種は空間を広く見せる効果があり、濃い色合いは落ち着いた雰囲気を演出できます。
室内環境では湿度の変化が比較的少ないため、適切な表面処理により長期間美しい状態を維持できます。
樹種による違いや特徴
不燃木材の羽目板に使用される主な樹種と、それぞれの特徴を理解して選択することが大切です。
杉材は軽量で加工しやすく、温かみのある色合いが特徴です。価格も比較的手頃で、内装材として広く使用されています。木目がはっきりしており、節の表情も豊かなため、自然な雰囲気を演出したい場合に適しています。
桧材は耐久性に優れ、特有の香りがリラックス効果をもたらします。淡い色合いで上品な印象を与えるため、高級感のある空間づくりに向いています。抗菌効果も期待できるため、病院や学校などの施設でもおすすめです。
用途や予算、デザインコンセプトに合わせて最適な樹種を選択しましょう。
不燃木材の羽目板でデザインと安全性を両立する理想の空間を
不燃木材の羽目板は、内装制限をクリアしながら本物の木の温もりを活用できる優れた建材です。価格や白華現象などの注意点もありますが、適切な選択により安全性とデザイン性を両立した空間づくりが実現できます。